資産構築 「FX編」 ~アメリカの通貨政策~
資産構築 「FX編」 ~アメリカの通貨政策~
さて、今回は、為替レートを動かす最大の要因の一つ、「アメリカの通貨政策」について言及していこうかと思います。
近年、ずっと円安傾向が続いてきました。今や円の実効為替レートは、プラザ合意以前の水準に逆戻りしています。
つまり、今までみんながFXで儲かりやすい環境だったのです。
ですが、これからはどうなるか誰にも予測できません。
今の円の水準が高いのか、安いのか、実際のところはわからないのです。
株の場合は、企業の収益(ファンダメンタル)に対して、明らかに株価が下がりすぎている、上がりすぎているという懸念がありますが、為替の場合は、株ほど上がりすぎ、下がりすぎの懸念が当てはまらないのです。
では、為替は何で動くのか?といいますと、
一般的に言われているのが、
1、景気動向
2、米国経常赤字
3、地政学的リスク
4、原油価格
5、為替介入
6、金利差
などが挙げられます。
しかし、これまでの歴史を振り返って、最も大きく為替レートを動かしてきたのは、「アメリカの通貨政策」なのです。
少し、振り返ってみましょう。
1980年、レーガンが大統領になると、「強いドル」政策を打ち出し、海外から米国に投資資金が集中し、どんどんドル高が進みました。
さらに、1985年のプラザ合意でドル高が進んだために、米国では産業の空洞化が進行し、企業がどんどん海外へ出て行ってしまいました。
その結果、雇用が冷え込んで不景気になり、これを食い止めるために米国が提案したのはドル安政策なのです。
プラザ合意以降、円は240円から120円にまで一気に円高(ドル安)になりました。
日米貿易摩擦が問題になった1995年には、円高は市場最高値の1ドル=79円75銭にまでにのぼりました。
やはり、為替市場における基軸通貨は米ドルで、ほかにどんな材料があっても、アメリカがドル安と言えばドル安に、ドル高と言えば、ドル高になってしまうのが現実なのです。
為替市場は結局、アメリカの思うがままに動いていたといっても過言ではないのです。
しかし、ここ近年、状況は変わってきています。
明らかにドルの没落が見られるのです。
例えば、中国などの新興国が輸出で稼いだ資金を「外貨準備」としてどんどん積み上げていますが、外貨準備に占める米ドルの比率が、2010年をピークに低下し続けているのです。
その一方でユーロの比率は上がっています。
通貨の売買高シェアを見ても、米ドルのウエイトは定価、それに代わって、ユーロをはじめとする他の通貨のシェアが上昇しています。
加えて、以前は「有事のドル買い」といって、世界のどこかで戦争が起きると、軍事力の強いアメリカの通貨が買われる傾向にありました。
しかし、「9・11同時多発テロ」が起きた時、有事のドル買いどころかドルは暴落してしまったのです。
こうした、世界のパワーバランスもしっかりを把握しておく必要があるでしょう。