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不動産投資の失敗例から学ぼう 「修繕費が多額にかかる場合」

 不動産投資の失敗例から学ぼう 「修繕費が多額にかかる場合」

今回も失敗事例について見ていきましょう。

失敗例「築十年の中古鉄筋マンションを関東で購入しました。家族向けで10室中2室が空室です。そこまで古いわけではないのに、換気扇の故障、ウォシュレットの故障など、頻繁に設備の交換がありました。さらに、先日退去した部屋は、新築時から十年間住んでいたということで、壁も床も全部直して設備も交換するなど、かなりのリフォームをすることになりました。

管理会社からは、そろそろ屋上の防水対策や外壁塗装もしておいた方がよいと言われ、その工事費用の見積もりをしたら、数百万円にもなりました。」

 

今回の失敗例は、購入後に修理費がかなりかかると分かった場合についてです。

 

費用から考えると、立地選びは慎重に行うべきですよね。

 

かなりの郊外ともなると、家賃3万ぐらいで2DK駐車場付きの部屋もあります。

しかし、都内だとそのレベルの部屋に住もうとすると最低でも10万はかかります。

 

家賃10万を毎月払える人というのは、そこそこの年収があり、安定した収入があると考えられています。

共働きの夫婦であれば、夫の手取り収入が300万円ぐらい、妻が200万円ぐらいと必ずしも多くなくても、世帯で500万円の収入があれば、十分に生活していけるでしょう。

オーナーとして考えた場合、こうした入居者であれば、家賃滞納リスクが減ります。しかし、その代わりに首都圏の物件は安くありません。

今の状況で利回り5%~6%も珍しくないのです。

 

これが地方になると、利回りは10%から15%なのかもしれません。

しかし、夫婦2人で家賃3万円を支払う世帯というのは、地方で考えても低所得世帯です。

低所得だからと言って家賃滞納率が高いということはないかもしれませんが、賃貸経営にとって、入居者がどんな人なのか?ということはとても大切なことなのです。

 

家賃の価格帯が安いということは、入居者の世帯年収が低くなると考えておきましょう。

 

高利回りの物件にはリスクがつきものです。

値段を安くしなくては売れないという事情もあるのです。

 

コストについても同じ考えができます。

先程、例に挙げた都内で家賃10万円の2DKの部屋と地方で家賃3万円の2DKの部屋のリフォーム費用を比較してみます。

 

家賃は3倍ほどの差がありますが、リフォーム費用については、ほとんど差がないのです。

なぜなら、地方だからと言って、人件費が東京の3分の1になることはないからです。

建材や住宅設備に関しても同様です。

 

都心では、工事車両の駐車場代を請求されることはあるかもしれないですが、リフォーム費用が地方の3倍になることは考えにくいのです。

 

これが、地方投資の最大の欠点です。

 

例えば、1億円の物件といっても、神奈川県のアパートでいうと、普通の家よりも少し大きいくらいのレベルですが、地方では、10世帯以上の大型のRC造マンションが購入できます。

 

賃貸不動産への融資では、収益還元評価・精算評価など金融機関によって評価の出し方は変わってきますが、精算評額を重視するような銀行では、地方の国道沿いにある広い敷地面積をもつRC造マンションが高い評価になります。

 

ですから、土地の広さも、神奈川県では、50坪ぐらいの土地も物件は企画できますが、地方では、その2倍以上の広い土地になります。

 

そうなってくると、単純に管理すべき面積も大きくなり、修理する戸数も増えます。

 

雪国であれば、除雪は必須です。面積が3倍になれば、除草も3倍の労力がかかります。除草作業は、意外に費用がかかってくるのです。

 

たとえ、シルバー人材センターで安く頼んだとしても、首都圏の10分の1の金額ですむわけがないですよね。

 

建物の規模が大きくなれば、受水槽や給水ポンプ、消防設備の法廷点検といった管理すべき設備も増えていきます。

それらは永久に使えるわけではなくて、時期が来れば、交換が必要です。

また当然、精算評価額が高く、融資を受けやすいということは、固定資産税も高いのです。

 

原状回復するにしても、例えば、同じ家賃5万円で都会が15平米の広さの部屋なら、地方は30平米と2倍の差です。

 

そうなると、壁紙の値段も、床も2倍の費用がかかります。

そのため、原状回復が都会なら15万で済んだものが、地方では2倍の30万にもなってしまうのです。

 

ですが、業者から渡される賃料上は、どちらも同じ「家賃5万円」です。

原状回復にかかった費用を回収するのに都会なら3か月で回収できるのに対し、地方では6か月かかってしまうのです。

 

これで、入居者に半年以内に退去されてしまったら、ひとたまりもないですよね。

さらに、それも繰り返しですから、慈善事業をやっているようなものです。

 

1年半ごとに退去されて、その度に30万も原状回復にかかっていたら、不労所得どころか本当に破産してしまいます。

 

利回りばかりにとらわれてしまい、コストを把握せずに購入に至っている投資家は多いように思えます。

 

「事業」として考えれば、当然コストの事も気にかけるはずなのですが、「投資」と考えてしまうと、目先の数値、特に利回りだけに注意がいってしまいがちなのです。

 

すべてのコストを差し引いた純粋なキャッシュが、思っていたほど、手元に残らないといったケースはよく耳にします。

 

では、どうしたらこうした失敗を避けることができるのでしょうか?

 

その解決策は、「購入するときのシミュレーションをしっかりと行うこと」です。

 

おおまかでもいいので、かかる費用を計算してみましょう。

 

1部屋当たりの経費率で比べてみると、地方ではたとえ利回り15%でも、思ったほど利益ならないといったことも多いのです。

 

一方で、都会で表面利回りが7%でも、利益が地方より多いなんてことはよくあります。

 

手残りのネット利回りが変わらなかったとすれば、どちらを選びますか?

相対的にリスクを負っているのはどちらですか?

 

積算評価にしても収益還元評価にしても、金融機関が評価したからといって、それだけの資産性や収益性が保証されている訳ではないのです。

 

億以上の借金をするリスクに対して、見合った利益があるかどうか冷静に分析する必要があります。

 

融資を受けたら、「無事に返済できるのだろうか?」「返すまでどうすればいいのだろう?」など様々な悩みがあると思います。

 

フルローン、オーバーローンがもてはやされて、リスクに対する感覚がかなりなくなっている投資家もかなり増えてきているようです。

 

机上の空論ではなく、事前にきちんとコストと利益を計算してから投資をするように心がけましょう。

cocozas.jp

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