番外編 コーヒーの市場とフェアトレードについて
番外編 コーヒーの市場とフェアトレードについて
今回は、コーヒーの市場について言及したいと思います。
ところで、皆さんは、普段コーヒーは飲みますか?
私は、一日1杯か2杯は飲むのですが、コーヒーって20年、30年前だと、今とは比べられないぐらいの値段で売られていましたよね。
カフェでコーヒー1杯500円とか高い場合だと1000円以上することもありました。
ですが、ここ近年低価格でコーヒーが供給されるようになり、嗜好品から日常の品に変わりつつあります。
突然ですが、「コーヒーのコストの内訳」ってご存知ですか?
一杯300円のコーヒーですと、
90%が小売業者やカフェが占めていて、
7%が輸出業者
残りたった3%がコーヒー業者になります。
この内訳が何を意味しているか分かりますか?
コーヒーを生産している人たちはまるで儲かっていないという現状があるのです。
コーヒーの生産地で有名なのは、エチオピアです。
エチオピアは世界最貧国の一つで、明日食べるものに困るレベルで困窮しています。
ここ近年のコーヒー豆の価格暴落により、ますます彼らの生活が厳しくなり、麻薬成分のある植物を育てて、生計を立てている人もいるくらいです。
エチオピアがどうしてここまで困窮しているかといいますと、「エチオピアがコーヒーのみの輸出産業に頼っているから」です。
つまり、「モノカルチャー経済」が原因なのです。
一方で、流通業者は、かなりの暴利を上げています。
こうした状況で出てくる問題が、「フェアトレード」の問題です。
生産者の生活のために本当にフェアな取引ができているのかを吟味する問題のことです。
ニューヨークのコーヒー価格を基準にして、決定される従来の国際価格よりも生産者への利益配分が高くなるようになっています。
NGOと発展途上国の小規模生産者との間で40年くらい前からはじまりました。
このフェアトレードを成り立たせるために使われるのが、この「フェアトレードラベル」です。
このラベルの目的は、
「フェアトレード・ショップ以外のスーパーマーケットなどに市場を拡大すること」です。
では、このラベルを使うことにどんなメリットがあるのでしょうか?
1、一般のスーパーや小売店がフェアトレード商品を扱うことで、市場が拡大する。
2、市場拡大により、より多くの生産者がフェアトレードに参加できる。
3、消費者がフェアトレード製品を購入しやすくなる。
4、フェアトレードマークのおかげで、より多くの人にフェアトレードについて知ってもらえる。
などのメリットがあります。
ここからは、私の個人的な見解なのですが、確かにフェアトレードは素晴らしいことだし、促進すべきことかと思います。
ですが、簡単に生産者に利益が還元されるかというと、容易な事ではないと思います。
これまで、暴利を上げてきた小売業者や流通業者が取り分を下げるわけにはいかないからです。
こうした会社にも市場競争に勝ち抜く必要がありますし、なんといっても「人間は
利益水準を上げることは受け入れられても、その逆、水準を下げることは容易に受け入れられない」のが常なのです。
では、どのようにすればいいのでしょうか?
根本的な問題解決は、私個人では到底できませんし、もしかしたら、誰にも抜本的な是正はできないのかもしれません。
ですが、私たちにできることとしては、「フェアトレードに対して無関心にならない」
ことが必要かと思います。
少しでもコーヒーのバックグラウンドにある問題を知っておく…これだけでいいんです。
少しの認識が大きな変革を生むこともあります。
ほんの少し日常のバックグラウンドを知ると、世界が変わってくるかもしれませんね。